台北の片隅でお寿司を握るミャンマー華僑の板前:朝鑫壽司


台北にはさまざまな異国料理レストランがありますが、日本料理ももちろん例外ではありません。特にここ数年は日本の飲食チェーン店の進出も著しく、選択肢には困らなくなってきました。

今回はそんな台北にある、背景を知ると驚いてしまう寿司レストランを紹介します。

ミャンマー華僑の板前が握る「朝鑫壽司」

MRT台電大楼駅そばの朝鑫壽司

今回紹介するのはMRT台電大楼駅そばにある「朝鑫壽司」さん。とってもおいしいお寿司をいただけるお店なのですが、こちらの板前はなんとミャンマー華僑なんです。



この朝鑫壽司さんからすぐの所に同じオーナーさんの「朝日壽司」があります。この辺りは私の住んでいるエリアから近いため、朝日寿司さんには以前食べに行ったことがあったのですが、ミャンマー街の友人に聞いたら、なんと日本在住歴のあるミャンマー華僑の方がやっているお店だと教えてもらえたのです。

ミャンマーの方が握るお寿司と聞いて思い浮かんだのが、ルポライターの室橋さん(@muro_asia)が取材・執筆されたこの記事。


「なんでガイジンが握ってんだよ!」から始まった……ミャンマー人が浅草に“本気の寿司屋”を出した理由

台北にもミャンマーの方がやっているお寿司屋さんがあるのに驚きました。

朝鑫壽司さんのカウンター

朝鑫壽司さんと朝日壽司さんはどちらもMRT台電大楼から徒歩ですぐの所にあります。朝鑫壽司さんの方が店内が広く、昼と夜の営業があるので利用しやすいと思います。

店内に入るとカウンター席があり、奥がテーブル席となっています。日曜の昼13:00に予約して行ったのですが、満席で繁盛しているようでした。

昼の部と夜の部の営業がある

写真付きのメニュー

寿司一通りとおつまみもある

日本を経て、台湾へ渡ったミャンマー華僑

7人で行って色々オーダー

6月のある日曜の昼過ぎ、ミャンマー街で知り合ったミャンマー華僑&ミャンマーの若者の友人ら7人と朝鑫壽司を訪れました。

私がミャンマー街で通っている諾貝爾小吃店というミャンマー料理食堂があるのですが、ここの店主が朝鑫壽司のミャンマー華僑のお兄さんと昔からの知り合いで、「寿司屋をやっている」紹介していただいたのが、この寿司屋の背景を知るきっかけでした。

諾貝爾小吃店の店主はミャンマー華僑で、2018年頃まで東京で10年ほど焼き肉屋を経営されていたという経歴があります。

東京には高田馬場などミャンマー人が集まるコミュニティがありますが、同じようにミャンマーに暮らしていた華僑たちも、本国での人脈を頼りながら、日本の社会で奮闘してきたようです。

朝鑫壽司のミャンマー華僑のお兄さんも、日本で修業をしていた経験があり、現在は台北で寿司屋をやっているとのことでした。この方はミャンマーから日本へ渡り、その後台湾へやって来たので、来台当初は中国語が上手く話せず、台北の日本人街ともいえる林森北路で働いていたとか。

この人たちの経歴を聞くと、ミャンマー・台湾・日本を行き来するミャンマー華僑のすごさを感じます。

手羽先やエビフライなど、おつまみもそろっている

寿司盛り合わせ

ミャンマー人の友人には揚げ出し豆腐が好評だった

ミャンマー女子が撮影に興じる様子

寿司盛り合わせ



ある日ミャンマー街を歩いていたら、騎樓の柱に朝鑫壽司さんの求人チラシを発見。


現在朝鑫壽司で働いているのは、日本在住歴のあるミャンマー華僑のお兄さんと、その親戚や友人などといったミャンマー華僑の皆さんだそう。

日本で修業した老闆が、他の従業員に技術を教えながら、お店を大きくしてきたのでしょう。最初に朝日壽司を開店し、成功してきたところで朝鑫壽司を出店したという流れのようです。

姉妹店「朝日壽司」は夜のみ営業


実は日本滞在歴のあるミャンマー華僑はたくさんいる

台湾のミャンマー街に通って4年になる筆者ですが、現地の人の話を聞いてみると、かつて日本に長期滞在していたというミャンマー華僑の話をちょくちょく聞きます。

彼らがミャンマーを離れたきっかけは、ミャンマー本国の政治や経済、または教育など様々な要因が語られますが、脱出した先は台湾だけにとどまらず、可能性のある土地へと移住してきたことが分かります。

華僑には同じ土地出身の人々で相互扶助を行うシステムがあり、それが移住先でも保たれているようです。

ミャンマーから日本へ移住し、後に台湾へ来た(または戻ってきた)ミャンマー華僑たち。台湾で飲食店を経営するのはその一部だと思いますが、その料理ジャンルはミャンマー料理屋に限らず、移住国の経験を生かして日本料理のお店を出すミャンマー華僑の方が台北にいるというお話でした。

「台中で日本料理屋をやっている」という日本帰りのミャンマー華僑のお話も聞いたことがあるので、気づかないだけで台湾には他にもミャンマー華僑オーナーの日本料理屋があるかもしれませんね!



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