台湾のミャンマー街・華新街で食べるべき雲南・シャン料理10皿(+a)


新北市の中和にある華新街はミャンマー街と呼ばれており、1960年代から移住してきたミャンマー華僑の人々が異国情緒豊かな街を形成し、通りには40軒ほどの食堂や雑貨店が並んでいます。

ミャンマー街の街並み

ミャンマー街で食べられるのは定番ミャンマー料理だけではありません。住人には雲南省に祖先を持つ人々も多く、雲南省の料理や、ミャンマーではシャン料理と呼ばれる料理も楽しむことができます。

今回の記事では毎週ミャンマー街に通う筆者()が、ミャンマー街で食べられる雲南・シャン料理をご紹介します。



ミャンマー街とは?


台湾のミャンマー街の形成は、1960年代に遡ります。元々ミャンマーに居住していた華僑・華人たちが、ミャンマーで起こった排華運動などの影響を受けて国外への移住を開始します。その際に現在の新北市中和区に多くのミャンマー華僑が逃れて来ました。

ミャンマーに暮らしている華僑のルーツは大きく『福建・広東系』と『雲南系』に分けることができます。中国西南部の雲南省は国境をミャンマーのシャン州と接しており、古くから人の移動が活発でした。台湾のミャンマー街に暮らす雲南ルーツの華人の方で、ラーショーやマンダレー出身だという人をちょくちょく見かけます。

また、雲南ムスリムの存在も特徴のひとつです。現在ミャンマー街には数軒の雲南系のハラール食堂があります。

雲南・シャン料理とは


雲南省は漢人だけでなく少数民族も多いエリアです。少数民族である傣族(タイ族)(擺夷と書かれることもある)は、ミャンマーではタイヤイ族やシャン族と呼ばれます。

台湾のミャンマー街では、店名に”雲南”の文字や雲南省の町の名前を使っているところもあるので、雲南系料理のお店なのか、定番ミャンマー料理のお店なのかを判断できることもあります。

雲南系食堂の代表的な料理は、米線・粑粑絲・稀豆粉など。ほかにも少数民族ルーツの料理を出すお店もわずかにあります。


1. 粑肉米線・粑粑絲

雲南口味の粑肉米線(乾)

粑肉米線(粑粑絲)の『粑肉』とはホロホロに煮込んだのちに細かく刻むか割かれた豚肉の乗った米麺の料理です。

米線(ミーシェン)は米の押出し麺で断面が丸くなっている麺で、粑粑絲(バーバースー)は米製の平麺です。粑粑絲はミャンマー語で「カウスエ」と言うそうです。

粑肉米線(乾)

『粑肉』の漢字表記は『耙肉』など、お店によってバリエーションがあるようです。

また、スープあり(=湯)かスープなし(=乾)を選ぶことができます。


粑肉米線・粑粑絲の人気店は華新街48号の『雲南口味』(map)さん。営業時間が特殊(金土日のみ)で、2021年11月現在はコロナの影響で持ち帰りのみの営業になっているので注意が必要です。

もう一軒、粑肉米線を食べるなら華新街196号の『雲南小吃』(map)もおすすめです。

雲南小吃の粑肉米線(湯)

雲南小吃の粑肉米線にはお肉の他にトマトペーストがかかっているのが特徴です。(スープ有り、なしどちらにも付いてきます)さらに炸豌豆粉もトッピングされているのも、他のお店では見られない特徴です。

雲南小吃

雲南小吃の老闆はミッチーナ出身だときさくに話してくださいました。料理の量が多くて半分持ち帰りにする時にスープを足してくれたりととても親切でした。

雲南小吃でトッピングに乗せてもらえる炸豌豆粉


雲南小吃

別の日に米線でなく粑粑絲も食べに行きました。米線はもちもち食感、粑粑絲はさらっとした食感です。

2. 稀豆粉

金龍小吃の稀豆粉粑粑

稀豆粉はミャンマーでは『トーフヌエ』と呼ばれる、えんどう豆やひよこ豆からできたペースト状の暖かい食べ物です。

稀豆粉は単独でも食べられますが、米線や粑粑絲、粑粑と呼ばれる薄いお餅を入れて食べることが多いようです。

上の画像は金龍小吃店(map)の稀豆粉粑粑。甘塩っぱいタレがかかっていて、しっかり混ぜていただくのが正しい食べ方だそうです。

雲南系のミャンマー華僑にとって稀豆粉は特別な料理のようで、遅い時間に行くと売り切れている場合もあるそうです。

稀豆粉は暖かい間はペースト状ですが、冷えると固まって豆腐のようになります。そのためお持ち帰りには向かない料理です。ぜひ寒い日に店内で召し上がってください。

稀豆粉が冷えて固まった料理が次に紹介する『豌豆粉』になります。

3. 豌豆粉

涼拌豌豆粉

涼拌豌豆粉

えんどう豆(またはひよこ豆)のペースト稀豆粉が冷えて固まると『豌豆粉』になります。ミャンマー街では砕いたピーナッツやパクチーなどをトッピングし、タレをかけて食べられています。

雲南小吃の店先で仕込み中の豌豆粉

炸豌豆粉

炸豌豆粉

豌豆粉は涼拌(冷製)でいただくメニューの他に、揚げた『炸豌豆粉』があります。

滇城雲南美食(map)では単品で注文できる他、ご飯系メニューにおまけとして付いてきました。揚げたては中がトロトロしていて美味しいです。

調理前の豌豆粉

4. 大薄片

大薄片

大薄片は豚皮の冷製サラダのことで、雲南系食堂のサイドメニューとして多くの店で提供されています。豚皮のコリコリした食感と酸っぱいタレが合っていて美味しいです。

ミャンマー街に限らず、台北など街中の雲南料理屋のメニューでもよく見かけます。


5. 乳扇

乳扇

乳扇は雲南省の白族のチーズと言われる料理です。台湾のミャンマー街では滇城雲南美食(map)や鴻園雲南美食(map)など、限られたお店でしか提供されていないようです。

揚げた上に砂糖がかかっている状態で提供され、チーズの塩気と砂糖の甘みが後を引く美味しさです。

雲南省では焼いたものもあるみたいですが、台湾のミャンマー街では揚げたものしか見たことがありません。

6. 擺夷小鍋米線

擺夷小鍋米線

擺夷小鍋米線は豆板醤が効いた濃いめの味付けの米線です。愛知県出身の筆者は味噌煮込みうどんが恋しくなったらこれを食べます(厳密にはすごく似ているわけではない別の料理ですが、感覚的にはやや近い)。

おすすめは口福南洋風味(map)のもの。

エスニック料理が苦手な方はそもそもミャンマー街には来ないと思いますが、擺夷小鍋米線はエスニック料理が苦手な方にも(辛いのが苦手な方にも)おすすめです。

口福南洋口味のメニュー


7. 黃飯

黃飯

土日のみに騎樓に並ぶ雲南系の屋台で売っていた黃飯。ミャンマー語では『タミンワー』というそうです。厳密には雲南・シャン料理なのか、ミャンマー全土で食べられているものなのか…?桃園の龍岡米干節でも見かけた料理です。

黃”飯”とあるくらいなのでお米から作られています。食感はモチモチしていて、しモヒンガーさん(@atrp_mm)曰く、トマトソースにはシャン納豆が入っているそう。確かに発酵系の旨味を感じるような気がしました。


土日のみに並ぶ屋台


8. 破酥包

破酥包(持ち帰りのみ)

破酥包は簡単にいうと雲南の中華まんです。肉まんだけでなく、餡はあんこやごまペーストなど甘いメニューもあります。皮が層になっているのが中華まんと少し異なる点でしょうか。

ミャンマー街で破酥包を専門で扱っているのは阿芬雲南破酥包(map)。持ち帰り専門店で、冷蔵状態の商品を販売しています。そのため出来立てを食べられるわけではなく、家で自分で温めて食べることになります。

ミャンマー街の他の雲南料理のお店でもメニューに破酥包を見かけますが、どちらも冷蔵状態のものを販売しているだけのようで、どうやら出来立てを食べ歩くことはできないようです…。

阿芬雲南破酥包

阿芬雲南破酥包・店内

常連さんは20個など大量に買って行くようですが、一つからでも購入できます。


9. 烤魚

烤魚

雲南料理屋の烤魚はハーブの効いた辛いタレに加え、身にもぎっしりとハーブが詰められた上で焼かれています。魚はティラピアでしょうか。

ハーブを詰めて焼かれている

口福南洋風味(map)の烤魚はクセになる味で、何度かリピートしています。結構辛味が強いので、辛いものが好きな方はぜひ…。


10. 英撈泰式酸肉

酸肉

阿仙雲緬美食で見つけた英撈泰式酸肉(通称:酸肉)は、発酵したもち米で豚の皮を挟んだ料理らしく、発酵による粘り気のある料理です。メニュー名の”泰式”はタイ族の、ということなのか、この料理に関してまだまだ知らないことがたくさんあります。

阿仙雲緬美食

阿仙さんは他のお店にないような変わったメニューが他にもあったので、またぜひ行きたいお店です。オーナーさんもとても親切でした。

阿仙・店内

そこはかノートさんにも阿仙さんを訪れた際の記事があります!


その他

雲南弁当

雲南弁当

台湾ではおなじみの自助餐というビュッフェ形式の食堂がありますが、ミャンマー街の『老地方』(map)はそれに近い形式の食堂です。

雲南料理のおかずが並んでいて、3品=80元、4品=90元、5品=100元とわかりやすい値段設定になっています。


水醃菜炒豬肉

水醃菜炒豬肉飯

雲南では自家製の漬物を作る食文化があるようで、ミャンマー街の雲南料理屋の店先でも漬物づくりの様子を伺うことができます。

滇城雲南美食(map)の水醃菜炒豬肉は自家製の漬物と豚肉を炒めた料理です。酸味のある野沢菜のような青菜の漬物と、豚肉の甘みがご飯にとてもよく合います。

土日限定の食べ物屋台

土日のみに現れる食べ物屋台

土日の午前中はミャンマー街が最も賑わう時間帯です。騎樓にテーブルを並べて雲南の食べ物を売る屋台が登場します。

薄いお餅のような粑粑や香腸(ソーセージ)、自家製の漬物や調味料などが並びます。

土日のみに現れる食べ物屋台

中和区周辺だけでも数万人のミャンマー華僑が暮らしているので、ここで故郷の味を入手して自宅で調理しているのでしょうね!

手抓飯

手抓飯(龍岡米干節にて撮影)

一部のミャンマー街の雲南料理屋では宴会料理の『手抓飯』を食べることができるようです(要予約)。筆者は基本ソロで食べ歩きをしているので今まで縁がなく未経験です。

手抓飯は基本的には3人から提供可能な料理で、人数が増えるにつれ料理の品数も増やしてもらえるようです。


終わりに

街並み

今回は台湾ミャンマー街の雲南系料理をご紹介しました。ミャンマー街周辺に限らず、台北などは街中にも数多くの雲南・雲泰レストランがあるので、今回の記事ではなるべくミャンマー街でしか食べられない料理を選んでみました。

ミャンマー街の風景

雲南系料理屋の定番「椒麻雞飯」や「過橋米線」はミャンマー街でも食べられますが、せっかくミャンマー街へ足を運ぶなら、稀豆粉や乳扇などを試していただきたいなと思います!








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