バンコクのミャンマー街プラカノンでラペイエをしばく



2025年の旧正月の休暇を利用してタイへ旅行へ行った際に、バンコクにあるミャンマー街「プラカノン」を訪れました。筆者は普段から台湾のミャンマー街「華新街」へ通っているのですが、海外のミャンマーコミュニティーを訪れるのは初めての経験でした。

今回はプラカノンで食べたミャンマー料理の紹介と、台湾ミャンマー街との違いを考えていこうと思います。





バンコクのミャンマー街「プラカノン」



ミャンマーと隣りあう国だけあり、タイには多くのミャンマー人が暮らしています。バンコクには数カ所のミャンマー街とも言えるミャンマー人が集まるエリアがあるらしく、そのうちの一つ、スクムビット沿いのプラカノン(Phra Khanong)へ行って来ました。

プラカノンについてはAsoke Channelさんの動画やブログを参考にさせていただきました。





こちらの記事によると、プラカノンにミャンマー系の人たちが増えたのは2007年以降のこと。ミャンマーには135の民族が暮らしているといいますが、プラカノンには特にカレン族が多く、このエリアのミャンマー系の8割ほどを占めるそうです。そのほかシャン族、ネパール人もおり、インド料理店があるのを見かけました。

私が普段通う台湾のミャンマー街(中和華新街)は”ミャンマー”街といえど主体はミャンマーに暮らしていた華人です。今回はプラカノンの様子をお伝えしつつ、台湾とバンコクのミャンマー街の比較をしてみたいと思います。

Phra Khanong駅

ミャンマー街はBTSプラカノン駅からすぐのところにあります。


駅を出てプラカノン市場の方角へ歩いて行くと、さっそく大通りに面したミャンマーの文字を発見しました。

Golden Kayin Family

Golden Kayin Family

店頭のガラスケースに金属容器に入れた料理が並ぶ光景は台湾ミャンマー街でもおなじみの風景です。スパイスと油で煮込まれた料理も、台湾で見覚えのあるものばかりのようです。

路地へ入っていく

大通りから路地の中へ入って行きます。その先には市場があり、衣服や食材など様々なお店が集まっています。ただ、訪れたのが午後過ぎだったので人潮のピークはすぎており静かでした。

#かわいいですね

市場周辺の静かな路地といえばもちろんねこちゃんのテリトリーです。タイではいつもたくさんの地域ねこさんとの出会いがありますが、プラカノンにもたくさんのねこちゃんがいました。

#かわいいですね

#かわいいですね

アジョーザイン(揚げ物のお店)

ぶらぶら歩いていると、見慣れたミャンマーの食べ物を売るお店がちらほら登場しました。ミャンマーでは「アジョーザイン」と呼ばれるアジョー(揚げ物)などを売るお店のようです。タイならではのパンパン袋に入った惣菜は台湾では見られないものですね。

画像右側に並ぶのはページョーというひよこ豆を煎餅状にあげたもので、モヒンガーなどのスープに入れて食べたりします。

金属容器に並ぶ料理はミャンマーのシービャン(スパイスと油で肉類などを煮込んだ料理)です。

シービャンが並ぶ店頭

ミャンマーの調味料や食材を売る雑貨屋もありました。台湾のミャンマー街にも曼第一や金鷹といった雑貨屋がありますが、売られているものは結構共通しているように見えます。

ミャンマーの食材を売る雑貨店

ミャンマーの調味料や缶詰

#かわいいですね

ねこのご飯屋さんのガラスケースの上で、パウチを枕にしてすやすやのねこちゃん。
BIG LOVE

ウェッタードウットー

ミャンマー本国では女性に大人気というモツ煮込みの「ウェッタードウットー ဝက်သားတုတ်ထိုး」を発見しました!

この料理はミャンマー定番のストリートフードらしいのですが、台湾ミャンマー街では根付いていない料理です。2023年に一度だけ華新街で喫食したのですが、このお店はすでに閉店してしまいました。

ウェッタードウットー

ウェッタードウットーはひと串単位で注文が可能です。指差しでオーダーし、店内でいただいていきます。

ミャンマー式の仏壇

モンレッカウッ

もちもちしたミャンマーのドーナツ「モンレッカウッ မုန့်လက်ကောက်」。台湾ミャンマー街では自分でパームシュガーのシロップをかけていただくスタイルなのですが、プラカノンではあらかじめシロップの絡んだものが売られていました。画像左側のは蒸したもち米にシュレッドココナッツをまぶした「カウニェンバウン」ですね。



ミャンマーの檳榔

プラカノンでもミャンマーの檳榔を見かけました。

#かわいいですね

モヒンガーを喫食する人たち

路地に出されたテーブルでモヒンガー(なまずスープの米麺料理)を食べる人たち。モヒンガーはレンゲ一本でいただくという伝統が生きているようです。

市場

プラカノン市場へ。こちらはミャンマー人だけでなく、一般的なタイの人たちの食材を売る場所のようで、特にミャンマー文字が目立っている様子はありませんでした。

#かわいいですね

市場にいた「おれを撮れ」おじさん。ねこちゃんはどんな感情なんでしょうか。

李坤、李森茂

プラカノン市場一帯はミャンマー系のお店が集まっているとはいえ、昔からありそうな華人のお店や廟もありました。


天后聖母宮

天后聖母宮

#かわいいですね

ねこちゃんのご飯ショップ

#かわいいですね

#かわいいですね

Ruby Restaurant(左) Mogok Family Restaurant(右)

一通り歩いたので、そろそろ食堂に入ってみます。Ruby RestaurantとMogok Family Restaurantというミャンマー料理食堂が隣り合って営業しています。まずは左のRubyさんへ。

Ruby Restaurantのメニュー

Ruby Restaurant

店内では食品や衛生用品なども扱っており、台湾のインドネシア街などで見かける「エスニック商店」の典型的な形態でした。

お店の方は南インド系の風貌でした。華人が主体の華新街とは大きく異なるエスニックグループ構成ですね。

トーフヌエ

ひよこ豆やえんどう豆で作った豆腐を和えた「トーフトウッ တို့ဟူက်သုပ်」を注文。ミャンマーでは南部のものと、北部のシャン系で味付けなどが少し異なる料理で、台湾ミャンマー街ではかつてシャン州付近に住み、主に雲南にルーツを持つ人たちが経営しているお店で食べることができる料理で、中国語名は「涼拌豌豆粉」といいます。

ラペイエ

「ラペイエ လက်ဖက်ရည်」(ミャンマー式ミルクティー)はガラスのコップで提供されました。

Mogok Family Restaurant

続いてお隣のMogokさんへ。

Mogok Family Restaurant

壁に上の方に仏像を祀り、タイ国王の写真を掲示し、ディスプレイからはボリウッドミュージックのMVが流れる…。これがプラカノンのミャンマー街!

ボリウッドミュージックのMVを流し、タイ国王の写真を掲示する

タイの食堂で必須の4種の調味料

Mogok Family Restaurant

モヒンガーにシャンカウスエ、シービャンやラペットウッ(お茶の葉サラダ)などのミャンマー南部の料理が中心に、シャン料理も扱っているようです。一部に宮保雞丁のような中華料理も並んでいました。

Mogok Family Restaurant

ファルーダ

ファルーダ

こちらのお店では「ファルーダ ဖာလူဒါ」を注文しました。台湾ミャンマー街では「印度冰」と呼ばれている冷たいスイーツで、発祥はイランの辺りのようなのですが、インド経由でミャンマーにもたらされたためなのか、中国語では「インドの氷菓」と認識されています。

ファルーダに食パンが入っている!

牛乳をベースに、ローズシロップ、寒天、プリン、チアシードやレーズンなどを入れるのがミャンマーの典型的なファルーダの様式だと私は認識しているのですが、このお店のものは食パンも入っていました。

ミャンマーには「シュエインエー」という別のスイーツがあり、その具材として食パンが使われるのですが、台湾ミャンマー街では食パン入りのファルーダは見たことがありません。

#かわいいですね


#かわいいですね

#かわいいですね

アンニュイな表情のねこちゃん。
So Cute...

#かわいいですね

AB Thai Myanmar Restaurant

続いてAB Thai Myanmar Restaurantへ。

AB Thai Myanmar Restaurant

AB Thai Myanmar Restaurant

ミャンマーのポップスがかかる店内。

「ラペイエ လက်ဖက်ရည်」を淹れているところを見ると、こちらのお店ではエスプレッソマシーンを使うという初めて見る方法を採用していました。

台湾ミャンマー街では両手にカップを持ち、片方に入ったミルクティーを別のカップに移して混ぜる「拉」の方法で入れるのが定番なのですが、別の方法もあるという学びがありました。

ラペイエを淹れる店員さん

ラペイエ

そしてまたガラスのコップで提供されるラペイエ!プラカノンではこれが常識なのでしょうか?!

ラカインモンティ

本日のメイン料理は私が一番好きなミャンマー料理である「ラカインモンティ ရခိုင်မုန့်တိ」を注文しました。通称「アプシャブ」と呼ばれる米麺の料理で、魚の練り物や魚のほぐした身が具材として入っています。スープありかなしかを選ぶことができ、この日はスープありをいただきました。



バンコク街中のミャンマー食堂

Family Food House

プラカノン周辺に限らず、バンコク繁華街にもミャンマー食堂があったので入ってみました。Ratchathewi駅のそばにあったミャンマーレストラン「Family Food House (Myanmar Restaurant)」(map)へ。

Family Food House

道を歩いていてガラスケースに並ぶ料理が目に止まり「これミャンマー料理っぽいな」と思い看板を見るとやはりミャンマー料理のお店!場所を問わず、ガラスケースにシービャンを並べるのはミャンマー食堂の定番スタイルなんですね。

台湾ミャンマー街のお店「母親的恩情」はこれを完全に再現していたんだと感慨深い気持ちになりました。


Family Food House

Family Food House

Family Food House

ミャンマー料理の他にタイ料理や西洋料理も提供しているお店でした。

エメラルドブッダが祀られている

ラペッタミン

「ラペッタミン လက်ဖက်ထမင်」を注文しました。中国語では「茶葉拌飯」と呼ばれる茶葉の混ぜご飯です。ナッツやニンニクをかじりながらいただきます。

デインチン

飲むヨーグルト「デインチン ဒိန်ချဉ်」(酸奶)も注文しました。パームシュガーのシロップを混ぜていただきます。台湾ミャンマー街と同じ味でした!


台湾ミャンマー街「華新街」と比べてみると…?

台湾ミャンマー街「華新街」の沅保奶茶店

プラカノンには騎樓がない?

プラカノンのミャンマー街が台湾ミャンマー街と最も異なると感じたのは、騎樓(ショップハウス前につくアーケード)がないという建物の構造でした。台湾ミャンマー街の風物詩といえば、騎樓でラペイエをしばきつつおしゃべりに興じるおじさんたちの姿。プラカノンでは騎樓という空間がないことに加え、そういった社交の光景を見かけることはできませんでした。(あるいは訪れた時間帯の問題なのでしょうか?それとも現地の人々の年齢層などに関係が?)

私は台湾ミャンマー街には長年通うもののミャンマー本国へ行ったことがないので全ての基準を華新街においてしまうのですが、ミャンマー社会では、ラペイエザイン(喫茶店)で社交するのは当然では…?と思っている節があるので、プラカノンの光景は予想外でした。

食べたものの比較

台湾ミャンマー街の「包哥來」

プラカノンで食べたもの(左)、台湾ミャンマー街で食べたもの(右)で比較していきます。

モンレッカウッ

ファルーダ

デインチン

ラペッタミン

ラカインモンティ

トーフトウッ

ラペイエ

台湾ミャンマー街は1960年代にミャンマーから台湾へ移住してきた華僑・華人が主体のエリアです。しかし一言にミャンマーから来たといっても、実際にはミャンマーの南部(ヤンゴン周辺)の出身か、北部(マンダレーなどシャン州一帯)から来たのかで、グループが異なります。


基本的に台湾に暮らすミャンマー華僑には二つのグループがあります。一つ目はミャンマー南部に住んでいたのは福建や広東といった中国南部からミャンマーへ移住してきた人々で、二つ目はミャンマー北部に住んでいたのは雲南辺りから移住してきたグループです。

この出身地の違いは、台湾ミャンマー街(華新街)で経営する食堂のメニューにもおおよそ反映されています。

台湾のミャンマー街・華新街で食べるべき定番ミャンマー料理10皿(+α)
台湾のミャンマー街・華新街で食べるべき雲南・シャン料理10皿(+a)

特に雲南にルーツを持つグループが「雲南」アイデンティティーを食堂のメニューに反映させて「雲南(シャン)系タイ料理」を出しているのが台湾の特徴であり、ミャンマー街形成の歴史にも関わる独自の点だと思います。

当然こういったメニュー構成を持つお店はプラカノンでは見かけることはなく、あちらで見かけたシャン料理は「シャンカウスエ」くらいだったと思います。

一方でカレン族が8割を占めるというプラカノンですが、そのエスニックグループの構成が食堂のメニューにどのくらい反映されているのかは、掴みきれませんでした。(どのお店も定番のミャンマー南部料理を主体としていた気がします)

終わりに


長年台湾のミャンマー街に通う筆者が、満を辞して海外のミャンマー街を訪れてみました。その結果、ミャンマー料理店の共通点や台湾ミャンマー街の独自性を再発見することができました。しかし未だにミャンマー本国は訪れたことがないので、いつか訪れることができることを願ってやみません。



参考記事:


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