当ブログでは過去にも台湾にあるミャンマー街やフィリピン街といった異国街を紹介してきました。今回は新北市永和にある韓国街と、韓国華僑のお話です。
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新北市・永和の韓國街へ
永和韓國商圈 |
台北のMRTオレンジ線に乗り、古亭駅を越えると新北市に入ります。市をまたいだ最初の駅「頂溪」からすぐの所にある中興街が、韓国商店街となっています。
永和韓國商圈 |
永和韓國商圈 |
なぜ韓国華僑は台湾へ移住したのか?
戦後韓国華僑について
— amikawa (@amikawa125) April 2, 2022
朝鮮半島へは中国大陸の国共内戦の際に多くの華人が逃れて来た。初代・二世はいつか故郷中華民国(台湾)へ帰るという念があったが、三世四世はその意識は薄い。彼らは中華民国国籍(無戸籍護照)で、韓国は二重国籍不可、韓国人にもなれない永遠の異郷人だhttps://t.co/KamrBMt0Bz
義聚東/劉家水餃
義聚東のメニュー |
義聚東/劉家水餃は1947年に韓国へ渡った山東省籍の劉崇嵫夫妻がのちに台湾へ再移住し、1955年に創業した北方料理店で、山東燒雞やチャジャン麺(炸醬麵)、炒碼麵、そして水餃子が名物です。一般的な韓国料理店とは少し異なるメニューのラインナップのように感じますが、地元の人に愛されており、営業時間中は満席になることもしばしば。
チャジャン麺(炸醬麵)とは「炸醬(チャジャン)」をかけた麺料理である。炸醬とは、大豆などから作られた黒味噌にカラメルを加えた春醬で、玉ネギや豚肉などの具材を炒めたソースである。(岩間一弘『中国料理の世界史』p352)
現代の韓国では国民食とも認識されている黒いソースがかかったチャジャン麺。台湾の韓国料理屋でもだいたいメニューに記載されている定番料理ですが、岩間一弘(2021)によると、チャジャン麺のルーツは古くからのチャイナタウンがあった韓国仁川の山東会館の食堂で1907〜8年頃に出され始めたと考えられているそうです。この食堂は中華民国が誕生した1912年に名を「共和春」に改め、韓国の老舗中国料理店として繁盛しましたが1983年に閉店、共和春の旧店舗は2012年にチャジャン麺博物館に改装されているようです。
義聚東で炸醬麵(チャジャン麺)
— amikawa (@amikawa125) December 3, 2023
1970年代に韓国では政策により中国料理店が没落傾向にあり、中国料理店の経営は中国人から韓国人の手に移っていく。これにより中国料理の韓国化が起こり、チャジャン麺の黒みと甘みが増し、韓国式にローカライズされた料理になったという(岩間 p350)#台湾にある韓国 https://t.co/eUmnYUdLuU pic.twitter.com/CoOaAc9v8w
チャジャン麺は元々華人の食べ物で、朝鮮人にはあまり食べられていませんでした。しかし第二次世界大戦後の1954年に韓国がアメリカとの間で「相互安全保障法」が改定されると、アメリカの余剰作物を援助国の学校給食に無償で提供できるようになり、日本ではこれがきっかけでパン食やラーメンが広まることになりましたが、韓国の場合はチャジャン麺が、そして台湾では牛肉麺が普及していく契機となったのだそうです。
▶︎台湾南部の外省麺:美援により広まった麺食文化
台湾に移住した韓国華僑の物語。台大後門にある韓国料理店「永和樓」は、ソウルにある老舗中国料理の永和樓の娘、蕭菁運さんが開店した
— amikawa (@amikawa125) February 11, 2024
韓国式中華料理とも言える炸醬麵や炒碼麵は韓国華僑が経営する食堂から台湾中へ広まった#台湾にある韓国https://t.co/nqsHGS1XGh
韓国要素と中国北方要素の集まり
韓成之家 |
韓成之家では韓国焼肉もできるのか、各テーブルにコンロが備え付けられていました。
韓成之家のメニュー |
山東燒雞 |
涼拌海蜇皮 くらげの和え物 |
炸醬麵 チャジャン麺 |
台北周辺のあちこちにある山東ルーツ韓国華僑のお店
ここ西寧路も永和の韓国街と同様に韓国華僑が1970年代に台湾へ移り、韓国商品の小売業などを営んできた歴史があり、80~90年代が全盛期だったそう
— amikawa (@amikawa125) July 18, 2023
昼ごはんをいただいた韓菜100という食堂には山東系の中華料理オリジンの炒碼麵や炸醬麵もメニューにあったhttps://t.co/53J0EZoih0
萬隆にある徐記 山東餃子館 韓食村(https://t.co/lUx8itcI3O)へ
— amikawa (@amikawa125) September 9, 2024
山東と韓式の二枚看板で、韓国華僑のお店なんだろうな。韓式拌飯が110元はお値打ちで良い#台湾にある韓国 pic.twitter.com/LtJKslGdXK
韓国華僑の方がやってる中華料理食堂、中和小館へ
— amikawa (@amikawa125) October 13, 2022
老闆の父は山東生まれの華人でかつて韓国に逃れ、後に台湾へ。当初この店は老闆の姉夫婦が経営しており、姉の夫が日本で中華料理を学んだそう。メニューや内装に韓国要素はないが
魚香茄子めちゃくちゃおいしかったし、白飯は10元でおかわり自由!!! pic.twitter.com/QuHKAytWDJ
終わりに
- 岩間一弘 編著(2019)『中国料理と近現代日本』第9章 チャジャン麺ロード―20世紀東北アジア、チャジャン麺流浪の旅 周永河
- 岩間 一弘 著(2021)『中国料理の世界史 美食のナショナリズムをこえて』第6章 韓国—ホットク・チャプチェ・チャンポン・チャジャン麺
- 韓半島永遠的異鄉人:在韓出生長大,卻被韓國人要求「滾回中國」、「不要假裝台灣人」的韓國華僑
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