台湾で最多の外国人労働者(移工)を抱える桃園市、中壢駅の周辺は東南アジア出身の労働者が集まる一大商圏となっており、数多くの飲食店やショップ、宗教施設などが揃っています。
忠貞市場へ行く際に中壢駅を利用したり、サイクリングで中継地として個人的に立ち寄ることが多い中壢。食べ歩きの記録も増えてきたので、今回は中壢駅周辺でいただいたフィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア料理を紹介します。
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中壢駅前のベトナム系カフェ |
移工人口が最多の桃園市
国際空港を有する台湾の玄関口・桃園市は多くの工場を構える工業都市でもあります。
台湾では1990年代から外国人労働者の受け入れを開始しており、各地の工業エリアや家庭内での介護の仕事を担う主に東南アジア出身の労働者(移工)がたくさん暮らしています。
リトル西門町とも呼ばれる中平商圏(平日) |
移工が特にたくさん集まっている都市は桃園市、新北市、台中市で、中でも桃園市は移工の人口が最大だと言われています。
外国人介護士などの人材紹介事務所の看板 |
桃園市にある鉄道駅の「桃園」と「中壢」駅周辺には数多くの東南アジア系ショップが集まり、特に彼らの仕事が休みになる毎週日曜日にはたいへんなにぎわいを見せます。
多言語看板 |
日曜のミサに集まるフィリピン人
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中壢耶穌聖心天主教堂 |
中壢駅前に東南アジアの移工が集まるようになったのが90年代。当初多かったのが中壢耶穌聖心天主教堂の日曜のミサに参加するフィリピン人だったようです。
こちらの教会前では、日曜日になるとフィリピンの食べ物を売る人たちが登場します。
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教会前で食べ物を売る人たち |
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フィリピンのお惣菜やスイーツ |
教会のそばには「Michelle Pinoy Foods」というフィリピン料理屋があります。そちらも店頭に持ち帰りのフィリピンのお惣菜やスイーツが並びます。
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Michelle Pinoy Foods |
ここのプリン「レチェフラン Leche flan」(70元)がおいしいのでおすすめです。
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楕円型プリンがレチェフラン |
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画像左は豚を焼いた「レチョン」という料理 |
フィリピンの料理はレチョンほか数点しか名前を知らないのですが、現物を見ながら指差しで注文。フィリピンの料理は他の東南アジアの料理と比べると味がマイルドで馴染みやすいと思います。
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レチョンの他におかずをもう一品注文 |
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レチェフランは家でいただきました |
教会の周りにフィリピン人が集まるのは、台北のフィリピン街も同じで、信仰の場を中心にコミュニティーが形成される例ですね。
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駅前のベトナム系カフェ
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中壢駅前のライトアップされたベトナム系カフェ |
ベトナムにありそうなおしゃれなカフェが、中壢駅前のビルの二階と三階に入居しています。
三階の「1981Cafe」に直通している一階のエレベーターを利用して店内に入ると、テーマパークのように揃えられたインテリアが目を引く空間が現れます。
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1981Cafeの店内 |
1981Cafeの店名の由来はハノイ出身のオーナーが1981年生まれであることに因んでいるそう。
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窓際の席から中壢駅が見える |
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店内の一角には清代中国で生産された青花瓷がディスプレイされていました。ベトナムでも近世の遺跡から中国の青花瓷をはじめ、多くの焼き物が出土していますが、ベトナム現地の人たちにとってもこういう焼き物は馴染み深いものなのでしょうか。
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ベトナム戦争を思わせる一角と生春巻き |
ドリンクだけでなくベトナム料理の生春巻きやフォーもあるほか、ベトナム人も好むおつまみとして、ひまわりの種もメニューにありました。
牛肉のフォー(牛肉河粉) |
Wifiと一部の席には電源もあったので、作業用のカフェとしても使えそうなお店でした。夜遅く(22:30、週末は23:00まで)営業してるのもありがたいです。
タイの仏堂と怪しい雰囲気のなにか…
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中壢駅前のタイ仏堂 |
以前、新北市新莊工業区のタイ街へ行った際に彼らが通う上座部仏教の施設が台南にあることを知ったのですが、タイ人の多く集まる中壢駅前にもタイからお坊さんを招聘して運営されている仏堂がありました。
毎年4月のソンクラーン(水掛祭り)にはこちらでも祈祷が行われるようです。
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駅前の時代を感じさせる雑居ビル |
仏教施設とは対極的な俗っぽいスポットもありました。駅前の雑居ビルの一角にはタイ語の看板や張り紙で彩られ、まるで台湾ではないかのような雰囲気を醸し出していました。
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ここだけ見ると台湾じゃないみたい |
階下はどうやらゲームセンターのようでした。画像左のお店は飲食店?ちょっとアウェーな空気を感じて、中に入る勇気が出ず…!ちらっと見えた感じでは、タイの若者が集まるスポットのようでした。
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カリマンタンにルーツを持つインドネシア華人
中壢駅裏口すぐのところにある東南小吃(印尼料理)というお店の看板には「BAKMIE KALIMANTAN」の文字が。カリマンタンといえばポンティアナックやシンカワンなど華人の多い町もある地域ですが、このお店もインドネシア華人の方がやってるお店なのかな?と思い入ってみました。
メニューにはレンダンやミーバクソなど、台湾の多くのインドネシア料理店の定番が並ぶほか、華人特に台湾では客家の料理として親しまれている米麺の粄條もラインナップされていました。
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棚に南洋華人のパイナップルケーキnastarが並んでいる |
メニューにはレンダンやミーバクソなど、台湾の多くのインドネシア料理店の定番が並ぶほか、華人特に台湾では客家の料理として親しまれている米麺の粄條もラインナップされていました。
また、メニュー下のスペースにはプラスチックのジャーに入ったお菓子の姿が目に入りました。一口サイズのパイナップルケーキのnastarも売られていますね。
黃梨餅。大馬華人は年越しのビスケット(年餅)を贈り合う文化がある。黃梨(パイナップル)は旺來と同音なので縁起が良いとされているそう。見た目にミニ菠蘿包みたいで可愛いらしく、生地・餡料は台湾の鳳梨酥のような感じ🍍 pic.twitter.com/2hj2199Bb5
— のうやくん👲🏼💂🏻 (@Yamidoh) January 28, 2023
大馬華人のパイナップルケーキ、台湾のインドネシア華人の屋台で売ってた鳳梨酥nastarに似ている https://t.co/xq1JlHowDj
— amikawa (@amikawa125) January 28, 2023
以前台北の景美夜市でマルタバマニスを売っている屋台でもこのnastarというお菓子を見かけたのですが、台湾ではインドネシア華人のお店でちょくちょく扱われる商品なのかもしれません。
台湾にはJolibeeはないが、Grabeeはある
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フィリピン系ファストフードの谷樂比炸雞 |
フィリピンにはJolibeeというフライドチキンなどを売る人気ファストフード店がありますが、フィリピン人も多く集まる台湾の桃園には谷樂比炸雞 Grebee Fried Chickenという類似のファストフード店がありました。
店員さんは客を見てタガログ(おそらく)、英語、中国語…と言語を使い分けていました。
谷樂比GrabeeのCombo5 |
オーダーを終えたらフードコートで使われるような呼び出しベルを渡されるので席で待ちます。食べ物を出来立てでいただけるので某フライドチキンチェーンより満足度が高いです。近所に欲しいぞGrabee…(今の所店舗は桃園と中壢だけっぽい)
※ちなみに台湾にもかつて本家Jolibeeが上陸したことがあったようですが、わずか2年で撤退したとか
中壢で東南アジアを感じる
茵茵的店というこちらのお店は騎樓に簡単な設備を構えただけのタイの屋台っぽさ溢れるお店。ミルクティーなどのドリンクやタイのお守りプラクルアン、さらにタイパンツなども扱っていました。
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「おいしい」のレンゲでいただくクイッティアオ |
中壢駅表口からバスターミナル方面へ向かう途中のビル二階にお店を構えるタイ食堂AFCさん。
台湾の庶民的な食堂で定番の「おいしい」と書かれたメラミン食器でタイ料理が提供され、台湾とタイのコラボが完成しています。
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同じく中壢駅表口の中和路と元化路の三角地帯。ここには上述のタイの仏堂があるほか、ベトナム料理とタイ料理の店が集まっています。
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轉角處越南美食の海鮮河粉 |
三角地帯の角にあるベトナム料理屋「轉角處越南美食」。席数も多く、平日でも営業しているためか、過去に何度か利用したことがあります。
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轉角處越南美食 |
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轉角處越南美食 |
ベトナム料理屋はもはや台湾各地のどの街にもあるほど根付いていますが、中壢駅前のようなベトナム人客をメインとしているエリアのお店はメニュー構成が若干よりベトナム人向けになっているイメージがあります。
轉角處の隣もベトナム料理屋です。こちらNông Dân Quánもベトナム人客で溢れるタイプのお店で、騎樓に並べられた背の低いプラスチックの椅子がベトナム感を醸し出しています。
このお店は台湾では見かける機会の少ないブンチャーを扱っています。
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Nông Dân Quánのメニュー |
中壢駅周辺に集まるのは食堂だけでなく、台湾で働く東南アジア出身の移工の方々に必要なサービスが揃っています。
EEC、VNEX、INDEXといった商店は中壢だけでなく台北や台中など、移工の多いエリアに店舗を構えています。食品や生活雑貨などの販売のほか、送金などのサービスを行っています。
ベトナム系商店VNEX |
インドネシア系商店INDEX |
タイ系の商店 |
台湾ではベトナム人女性が経営するネイルサロンも各地に見られます。
終わりに
台湾で最も多くの移工を抱える桃園市。特に台湾鉄道の桃園駅と中壢駅周辺に東南アジアのお店が密集しており、今回の記事では中壢駅周辺のお店を紹介しました。
1990年代に外国人労働者の受け入れを開始し、当初はフィリピンとタイからの労働者が多く、フィリピン人が日曜のミサの為に教会周辺に集まりだしたのが今日の景観を作り出すきっかけとなりました。現在はインドネシアとベトナム出身の労働者の人口が多いようで、中壢駅周辺のお店にもその趨勢がある程度反映されているようです。
台湾にいながら東南アジアを感じられる中壢。ぜひ最もにぎわう日曜日に訪れてみてください。
参考記事:
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