三重先嗇宮はマジョリカタイルがふんだんに使われる華やかな廟だった

近年おしゃれな台湾みやげとして注目を集めるマジョリカタイル。台湾においては日本統治時代に廟や邸宅の装飾に用いられ、富の象徴でもあったそうです。


嘉義には花磚博物館という台湾の邸宅などで使われていたマジョリカタイルを収集・保存している博物館がありますが、今でも台湾各地にはマジョリカタイルが使われている廟や邸宅を実際に見学できる場所があります。

台北のお隣、新北市の三重にある先嗇宮には、出入口の壁にマジョリカタイルが一面に張り巡らされ、とても華やかに彩られていました。

先嗇宮への行き方

先嗇宮(Xian Se Gong)は新北市の三重にあります。MRTオレンジ線(迴龍方面)の先嗇宮駅から徒歩10分程度。MRT駅と先嗇宮の付近どちらにもYouBikeステーションがあるので、登録している方はYouBikeで行くこともできます。

先嗇宮の歴史

先嗇宮が創建されたのは清乾隆二十年(1754年)のことで、五穀先帝廟や五穀王廟とも呼ばれていたそうです。日本統治時代に先嗇宮という名前に変わりました。また、大正十四年(1925年)の再建と、幾度の修復が行われています。現在は新北市の市定古蹟に登録されています。


昭和の年号が入った扁額

昭和や大正の年号の入った扁額も飾られていました。

大正の年号が入った扁額

先嗇宮に使われているマジョリカタイル

先嗇宮の入口のマジョリカタイルは大正十四年(1925年)の再建時につけられたものだそうで、左右の出入口には花をモチーフにしたタイルのパネルがそれぞれ二枚ずつ飾られています。



2019年10月に訪問した際のツイートによると、それぞれメインのパネルに使われているタイルは70枚で、それが4ヶ所、つまり280枚。

その脇に黄色のタイルが12枚ずつ貼られており、これも4ヶ所にあるため48枚。さらにその下に水色のタイルが8枚ずつ、これも4ヶ所にあるので32枚。

全て合わせると使われているタイルの数は360枚、という計算になりました。これは正方形タイルの合計で、このほかに長方形タイルもありました(こちらは数えていません…)。

当時の台湾では富の象徴として廟や邸宅を彩ったマジョリカタイル。それを360枚も使うことができる先嗇宮。きっと多くの地元の人々に支持されていたのでしょう。

廟の入口側(正面から見て右側)

メインのパネルは水色を背景とした花モチーフのタイルと、中央の白色背景にピンク色の花モチーフのタイルからできています。この水色背景のタイルの花の図柄は廟入口側と出口側で異なりました。

廟の入口(正面から見て右側)のタイル

正面はこのような水色背景と花のタイルと、白色背景で中央に花があるタイルの組み合わせです。その周りを長方形のタイルが囲んでいます。

入口の側面のタイル装飾

入口・出口の側面は、黄色背景のタイルと、白と水色の組み合わせのタイルで装飾されていました。

4枚で一つのパターンになるタイル

この水色と白色のタイルは、4枚1組でひとつのパターンになるタイプのタイルでした。

側面の黄色背景のタイル4種

入口と出口それぞれ左右の側面に貼られている黄色背景のタイルは、全てモチーフが異なりました。左上の図柄は、メインの水色背景の花と同じデザインの色違いでした。

入口・出口の両方に使われていた白色背景のタイル

この白色背景のタイルは全ての面で共通して使われていました。よく見ると下の画像の一番右のタイルは、花の中心部分の色が他と違って黄色になっていました。

出口側(正面から見て左側)の水色背景のタイル

出口側の水色背景のタイルのモチーフの花はチューリップか百合(?)のようなデザインでした。

台湾のマジョリカタイルを知るための書籍

台湾の郷土史家・康鍩錫さんの『台灣老花磚的建築記憶』は、世界と台湾のタイル文化の紹介をはじめ、台湾各地のマジョリカタイルが使われている建築、タイルのモチーフの意味など、総合的にマジョリカタイルについてまとめられた一冊です。

繁体字中国語で書かれていますが、フルカラーの写真が大量に収められているので、写真を見るだけでも楽しめると思います。

貓頭鷹出版・ISBN 978-986-262-262-9・2015年9月初版・232ページ・580元

先嗇宮へのアクセス

▶︎住所:241新北市三重區五谷王北街77號
▶︎アクセス:MRT先嗇宮駅から徒歩10分








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