その日本統治時代の建築が2017年から新たなランドマークとして生まれ変わりました。古い建物を現代の若者のスポットとして活用する例は、台北の華山1914や松山文創園區、台中には宮原眼科が有名です。
今回の記事では新しいアートと文化の交流スペースとなった、新富町文化市場の見所を紹介します。
新富町市場の歴史
1935年に落成し、日本統治時代には日本人・台湾人を問わず市民の野菜市場として親しまれてきましたが、時代とともに市場は寂れていきました。
そんな中、新富市場の建築は2006年に台北市市定の古蹟と認定され、2009年に「古蹟修復および再利用計画」が実施されました。2012年〜13年にかけて、内部で営業をしていた屋台は隣接する東三水市場に移動し、新富市場の修復作業が行われました。
そして2017年3月に「新富町文化市場」として正式に開幕しました。現在ではテナント方式による経営方式を採用し「青年創意基地共同工作空間」となっています。
新富町文化市場の建築の特徴
建物を外から眺めると、正面玄関の上部には台北市の「北」の文字をあしらった標章が見られます。この玄関は隣の東三水市場と繋がっています。
修復後の新富町文化市場は、ワークショップや展示を行うスペースがあり、カフェで一休みをすることができるようになっています。
現地では市場の歴史と改装の様子や人々の記憶を語る映像が放映されていました。YouTubeにもその映像がアップロードされてます。こちらは中国語と英語字幕のみですが、現地では日本語字幕のものも放映されていました。
内部には野菜市場当時の様子をモチーフにした屋台がディスプレイに使われていたり、ガラス張りの床の下には当時の地面が残されています。
この上に立つと「私たちは過去の上に立っている」ということを文字通り感じることができます。このようにガラス張りの床の下に過去の遺構を見せる展示方法は、MRT北門駅にも見られます。
市場らしく、せいろがランプのカバーになっている |
当時は建物の壁に沿って野菜や肉類、生活用品の屋台が並んでいました。現在この場所は展示スペースとして、この市場建築の模型や、食品についての知識が学べるボードが展示されています。
建物の中を歩いてみると、少し幅が狭いように感じるかもしれません。実はこの幅はちょうど当時の屋台と屋台の間の距離を再現しているそうで、当時の買い物客たちの体験を想像できるようになっていました。
外観は台湾博物館や総督府のような華美さははなく、質実剛健なイメージの建物です。それはもともと新富町市場が当時から特別なモニュメントではなく、地元の人たちの日常生活のなかで使われる建物だったからなのでしょう。
しかし新富町市場も時代とともに活気が薄れていき、ここで商売をする屋台も減っていきました。
先ほど紹介した映像の中では、当時の市場の思い出を語るおばあさんの話が出てきました。新富町市場は地元の人たちの思い出が詰まった場所であると同時に、現存する日本統治時代の市場建築の貴重な例でもあることから、2006年に台北政府は新富町市場の建物を古蹟に認定しました。
古蹟の保存には様々な考え方があると思います。
建築の姿を当時のまま変えず時間を止めてしまい、現代の私たちとの関係を絶つことで完全な姿での保存するのも一つの考え方です。
反対に現代の私たちの手を加えて、空間を新たに活用し、現代とともに時間を刻んでいくことで引き続き土地の記憶を紡いでいくのも古蹟保存の一つの方法であると思います。
2017年3月より忠泰基金會によって新富町文化市場は「食育」「文化」「都市の再生」の発信地として運営が始まりました。内部にはキッチンのついたワーキングスペースや、展示やワークショップ向けの空間の貸し出しを行なっているほか、ふらっと立ち寄れるカフェがあります。
このような古蹟を利用したスポットとして、台北市には華山1914や松山文創園區がありますが、新富町文化市場も同じように、フォトジェニックで明るく開放的で若者たちにも親しみやすい空間になっています。
住所
台北市萬華區三水街70號
No. 70, Sanshui Street, Wanhua District, Taipei City, 108
MRT龍山寺3番出口より徒歩2分
開館時間
火曜日〜日曜日
10:00〜18:00
(月曜休館)
入場無料
ウェブサイト
新富町文化市場
建物の中を歩いてみると、少し幅が狭いように感じるかもしれません。実はこの幅はちょうど当時の屋台と屋台の間の距離を再現しているそうで、当時の買い物客たちの体験を想像できるようになっていました。
古蹟の保存と活用とは?
密集した住宅や市場の合間に現れる新富市場。外観は台湾博物館や総督府のような華美さははなく、質実剛健なイメージの建物です。それはもともと新富町市場が当時から特別なモニュメントではなく、地元の人たちの日常生活のなかで使われる建物だったからなのでしょう。
しかし新富町市場も時代とともに活気が薄れていき、ここで商売をする屋台も減っていきました。
建築の姿を当時のまま変えず時間を止めてしまい、現代の私たちとの関係を絶つことで完全な姿での保存するのも一つの考え方です。
反対に現代の私たちの手を加えて、空間を新たに活用し、現代とともに時間を刻んでいくことで引き続き土地の記憶を紡いでいくのも古蹟保存の一つの方法であると思います。
このような古蹟を利用したスポットとして、台北市には華山1914や松山文創園區がありますが、新富町文化市場も同じように、フォトジェニックで明るく開放的で若者たちにも親しみやすい空間になっています。
新富町文化市場へのアクセス
住所
台北市萬華區三水街70號
No. 70, Sanshui Street, Wanhua District, Taipei City, 108
MRT龍山寺3番出口より徒歩2分
開館時間
火曜日〜日曜日
10:00〜18:00
(月曜休館)
入場無料
ウェブサイト
新富町文化市場
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